バプテストの歴史 2004年2月9日

 

2月9日 偉大な説教者を生み出した出来事
       みことば ローマ8:28

 かつてアメリカが生んだ最も偉大なバプテスト説教者のひとりはテキサス州、ダラス第1バプテスト教会のジョージ・W・トルーエット博士です。彼の説教は今でも大切に保存されています。彼の声は一度聞けば、決して忘れることはありません。哀調と悲しみを帯びたその声は、数えきれない人々を罪の悔い改めと主イエス・キリストに対する信仰へと導くために神によって用いられたのです。ところが、現代のほとんどの人が、あの偉大な神のしもべの働きが変えられたすばらしい経験を知らないのです。

 1898年2月4日、トルーエット牧師は、ダラス警察署所長のJ・C・アーノルド、テキサス州にあるクリバーン第一バプテスト教会の牧師ジョージW・ベインズ牧師と一緒に狩りに出かけました。三人はクリバーンの東部で狩をしながら、その交わりを楽しみました。ところが、彼らがベインズ牧師の家に帰る準備をしていたとき、トルーエット博士が撃鉄のないショットガンを片方の腕からもう一方の腕に移そうとしたとき、暴発してしまったのです。そして銃弾はアーノルド署長の右膝を撃ち抜き、大けがを負わせてしまいました。そのけががそれほど深刻なものであるとは考えずに、アーノルド署長はトルーエット牧師を安心させようとしましたが、不吉な予感がして、この30歳の牧師は、ことばに表わせないような心の痛みを覚えました。アーノルド署長は治療のためにダラスに連れて行かれました。しかし、彼は激痛に苦しみ続けていました。そして2月5日の夜、主のおられるところへと去って行ったのです。

 アーノルド署長の葬式は、2月9日水曜日、ダラス第1バプテスト教会でベインズ牧師によって執り行われました。若いジョージ・トルーエットは自分の不注意から起こった事故のために自責の念に駆られて苦しんでいました。彼は妻に向かって、自分は二度と説教をすることはできないと言い、床を歩き回っていました。アーノルドの死の原因が心臓での疑血であったということがわかったとき、トルーエットは完全に押しつぶされてしまいました。彼の妻の慰めも何の役にも立ちそうにはありませんでした。
 主の日が近づいていました。トルーエットは休むことができません。床の上を歩き回りながら、「私のすべてはあなたのみ手の内にあります。」と心の中で叫んでいました。このようにしてこの神の人は完全に力を消耗して眠りにつきました。彼の生活とその働きのすべてが変えられたのはまさにその夜のことでした。その夜について、彼は詳しいことを述べていないのですが、その夜、彼は非常に明確な三つの夢を見たというのです。彼は、シュイエス・キリストが彼の側に立っておられるのを見ました。そして、三度主は「恐れるな。これよりあなたはわたしのものとなる。」(注1)と言われたのです。これは信じがたいことだと多くの人々は考えます。けれどもその翌日、やせこけた顔と悲しみに満ちた目で、彼は説教のために講壇に立ちました。事態は確かに今までとは違っていたのです。結果を見ればそれがわかります。彼の47年間の第1バプテスト教会での牧会生活の中で23000人以上のメンバーが加えられました。1944年の彼の晩年までに、おそらくアメリカ中で一番有名な牧師となりました。いかなる聴衆の心をも捕らえる者となるために主がお許しになった苦い経験を通して、彼が真に主のしもべとなったからです。彼よりももっとつらい経験をした者はなかったでしょう。そして神はその苦い経験の中でも彼を支えてくださったのでした。

注1、 H.Leon McBeth, The First Baptist Church of Dallas (Grand Rapids: Zondervan Publishing House, 1968), pp.135-37.


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